毎回更新を楽しみにしている小田嶋さんのコラム「ア・ピース・オブ警句」。
少し前のものになるが,ミニバンや車業界の話が取り上げられていた。
「「家族」マーケティングの栄光と落日」
http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20100122/212372/この記事もかなり面白い内容だった。
自分はミニバンが好きではない。乗っている人には申し訳ない。小田嶋さんのように,この場でお詫びをしておきたい。しかし,車を選ぶ尺度が全然違うなあと思う。
自分からすると,ミニバンは何より見た目がかっこわるいし,運転しても全然面白くない。3列シートだとか,ゆったり空間だとか,そういうものは機能的だと思うのだが,それはあまり自分にとっては重要ではない。
もちろん自分はペーペーなので,お金の制約はありつつも,運転していて楽しいかどうか,見た目が好きかどうか,という観点から車を選ぶ。だから,自分にとってはミニバンとは理解を超える乗り物のひとつである。
と思っていたら,小田嶋さんのコラムだ。
減税+補助金ばかりが目につくCMに,どこか違和感を感じていたが,要するに安さしか売りがないということだとズバリ指摘されていて,なんだか胸のすく思いである。
よくよく考えれば,スポーツカーは今や高級車ばかり。レクサスのIS-Fなんて800万円もするし,GT-Rなんて言うまでもない。それを買うのは,私よりも随分年上の,そして,僕の世代からは考えられないようないい暮らしをしている(人が多いように見える)オジサンたちだろう。
今や当たり前のようになっているが,若い人たちはそもそもスポーツカーなんて乗れないし,乗らない。当たり前だ。10年前と比べて35歳の平均収入が200万円も下がっている日本ではやむを得ないだろう。見栄を張る余裕すらない,ということだろうか。
でも,ふと思うのだが,そんな収入であっても,もしかしたら,かつては無理をしてでも車を買っていたのではないだろうか。
今の日本で,この安月給では車なんて無理だ,あり得ない,という意見もあるだろう。だけれど,それはもしかしたら,日本で生きることのナラティヴが変容してきたからなのかもしれないとも思う。それを夢がなくなった,と言うこともできるだろうし,だからある意味で,小田嶋さんのコラムはそういう夢への懐古趣味ともとれなくもない。今朝の新聞にも打つ手がない日本経済,ということが書かれていたけれど,今のように閉塞感に包まれている中でも,夢を持つことはできないのだろうか。常々,そんなことを考えている。
などということを考えてしまうコラムだった。
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