GoogleとSunの提携とその後

GoogleとSunが提携したことが、以前発表された。(http://japan.cnet.com/news/ent/story/0,2000056022,20088126,00.htm)

この記事でも述べられているが、Sunの持っているOpenOfficeをベースにしたMS-Office互換のStarOfficeをGoogleが活用していくであろう、とのことだったが、今日新たに、
「 米グーグル、サン製のワープロ・表計算ソフト無償配布」(http://www.nikkei.co.jp/news/main/20070816AT2M1600U16082007.html)という記事を見つけた。

コンピュータソフトウェア技術の進歩は、90年代を通じては主にOSの分野でWindowsが主導する形で展開された。しかしながら、近年のソフトウェア技術の進歩は、Googleが先導するウェブアプリケーションの進歩という形で現れてきている。その中の一つとして、かつてこのブログでもGoogle Docs and Spreadsheetsを紹介したが、このアプリケーションを何らかの形で進化させるための方法として、StarOfficeの無料配布が行われるのだと考えられる。

考えるまでもなく、マイクロソフトがコンピュータ市場で強い理由は二つであり、一つはプラットフォームとしてのデファクトスタンダードであるWindowsを有していること、もう一つは、オフィススイーツとしてのデファクトスタンダードであるOfficeを有していることの二つである。前者については、リナックスの様々なディストリビューションパッケージが切り崩しの「切り札」などと呼ばれてきたが、全くそのようなことはなかった。
一方、後者についても、MS-Office互換のフリーウェアであるOpenOfficeがそのきっかけになるのではないかと期待されていたが、そのようなことには現在までのところなっていない。同製品をベースに開発されたSun MicrosystemsのStarOfficeが今回無償配布されることは、それ自体にはそれほど大きな意味があるとは思えない。
しかし、少なくとも考えられるのは、Google Docs and Spreadsheetsが今後何らかの形で機能を向上させてくることは間違いない。どのくらいそれが進むのかにもよるが、場合によってはOfficeを凌駕するような時も来るかもしれない。そうなると、Microsoftの優位は当然ながら二つともなくなる。なにしろ、インターネットに繋がるコンピュータであれば、OSが何であってもアプリケーションはブラウザを通じて動かせ、さらにデータもオンラインに保存しておくことができるようになるためだ。
とはいえ、そこまでに乗り越えなければならない技術的な壁はかなり大きいと見ている。例えば、パワーポイントに代替するようなものが、本当にGoogleのウェブアプリで無償提供されるのか、というようなことを考えると、まだもう少し時間はかかりそうだし、時間がかかっても難しいかもしれない。とはいえ、可能性としてはそういうことも考えられることは無視できない。MS側がOfficeのウェブアプリケーションへの代替が本当に進むような可能性が見えてくる事態になった場合、どのような反撃を試みるかも見物である。

また、その一方で、今朝の日経新聞では、Google社内で急拡大によるマイナスの影響として、社内の人材の流出が進んでしまっているという問題点の指摘もあった。
つまり、技術者として新しいウェブ技術開発がやりたくて入ったのにもかかわらず、組織が大きくなったことで、管理職にならざるを得なくなり、仕事に対するモチベーションが下がって離職してしまう、というケースが増えているそうなのである。そうなると、今回のSun Microsystemsとの提携がうまく進展していくためには内部組織の問題も克服して行かなくてはならないという状況ではある。

いずれにしても、Googleが今後どのように成長を遂げていくのかを見守るポイントが新しくできたニュースであった。

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