スズキ自動車の動きについて

スズキ自動車は、軽自動車を減産する模様だ。
【池原照雄の単眼複眼】スズキ減産で軽市場に一大転機 | Response.

軽自動車は、近年の原油価格の上昇に伴って、順調に販売が伸びている(日本経済新聞記事より「軽自動車普及率、100世帯当たり46.8台・首位鳥取94.1台」)。
一方、スズキ自動車は全世界で300万台の生産体制を構築するべく、新工場の建設を始めている(フジサンケイビジネスアイより「スズキ、静岡に小型車新工場 年24万台生産、600億円投資へ」)が、これは小型車の生産拠点となる模様だ。

つまり、軽自動車市場が伸びているものの、スズキ自体は軽自動車市場におけるシェアトップの地位に固執することなく、収益を確保できる小型車市場により注力するものと見える。

8月24日日本経済新聞朝刊記事「スズキどこまで強いか(上)」によると、スズキ自動車は既に販売台数の7割が小型車であり、軽自動車は3割にすぎない。エンジン排気量660CC以下の軽自動車という規格が日本独自のものだということを考えれば、小型車にシフトするのは、スズキがよりグローバルな市場を事業展開の場として選んでいることを意味している。
特に、冒頭リンク記事にあるように、軽自動車販売は年々加速しており、販売数量を増やすための消耗戦が続いている様子である。スズキはそうした無意味なシェア争いから身を退き、むしろ、自社の小型化技術を中心に収益を確実に確保できる小型車に軸足を移すということであろう。また、軽自動車があまり売れすぎると、現在の税制面での優遇措置の見直しの議論が浮上する危険性もあり、そうなれば軽自動車への依存は命取りになりかねない。
そのため、スズキ自動車はここ数年、軽自動車から小型車へと事業の中心をシフトさせてきていることが、「スズキどこまで強いか」の記事中のグラフでは明確に見て取れる。シェアトップの企業は、なかなかこうした戦略転換は図れないものだと思うのだが、極めて妥当な判断だと言える。

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