今回の震災に関して-電力需給逼迫への対策私案

東日本を襲った大震災は,我々日本人から多くのものを無残にも奪い去って行った。
福岡に住む自分は,テレビでの報道の映像を通してしか知ることはできない。にもかかわらず,それでもこれほどの痛みを覚える日々はなかった。そして,今もなお,多くの被災者は,失ったものの大きさに,そして,日々の生活に苦しんでおられる。そのことを思うと,自分が出来ることはないだろうかと考えずにはいられない。自分に出来ることはとても限られているのだが,ひとつは自分なりの視点で今の問題への対策を考えることではないかと思う。そこで,今回は電力需給逼迫に対する案を考えてみたい。

現在,福島第一原発の事故だけでなく,第二原発も停止している。
柏崎刈羽原発が新潟中越地震で停止した時期を含む2008年時点で,東京電力管内で23%,おそらく震災以前の段階では30%近くの電力をまかなっていた原子力発電の多くが喪失されている現状では,電力需給の逼迫は明らかである。
自分なりに今回の震災から考えられる電力需給逼迫への対策を考えてみた。
是非皆さんの意見を聞かせてください。

何よりも必要なことは,太陽光発電システムの家庭への爆発的な普及を図ることだと思う。
そのためには,太陽光発電からの買電価格を10倍(少なくとも5倍以上)に上げ,これによって,太陽光発電システムの損益分岐点を大幅に短縮化する。 現在,電力会社による買電価格は42円/kWhだが,これを200円/kWh以上にはできないだろうか。

つまり,平たく言えば,3年くらいでもとがとれるようにする。3年を損益分岐点に設定した場合,時限立法などで,3年間の電力需給逼迫対応策として,予算措置をつけることは可能かもしれない。 どのくらいの予算が必要なのか,試算をしたわけでもないのだが,一考の余地はあるのでではないかと思います。

この効果は4つある。

ひとつめは,電力供給量がある程度確保されるため,夏場の計画停電を可能な限り回避し,産業界の活動への影響を低減して,復興のための経済活動を維持・活発化させることができる。

2つめは,今回の事態を受けて,東京電力が解体されるのはほぼ確実と考えるが,その際の具体的な将来像を示せるということである。つまり,東京電力は発電会社と送電会社の2つに分化し,送電会社が発電会社から電力を購入する形態になる。
つまり,送電会社はその場合,各家庭の太陽光発電システムも含まれ,実質的な電力供給源の分散化が図られる。ここにはいうまでもなく今回のような激甚災害における電力確保という意味で,分散型電力供給システムを確立するという災害対策上のメリットも含まれる。

3つめは,太陽光発電システム産業の産業育成である。
京セラやシャープなどが現在日本では太陽光発電システムを生産している。これが大きく成長することが期待される。量産によるコスト低減なども期待できるため,海外への展開を行う上で,競争優位性の獲得に寄与するであろう。
また,これだけでなく,太陽光発電システムを設置するための工事を行う人員に雇用が生まれる。これも震災後の経済対策として有用で,しかも,こうした人材は海外での今後の需要に対しても,人材として活用出来るかもしれない。

4つめは,太陽光発電システムを導入した家庭の節電と消費押し上げ効果である。
家庭からすれば大幅に売電価格が上昇するので,節電に励むだろう。なにしろ,高く売れるのだから,節電するに越したことはない。
節電から生まれた電力の売価は高いので,それを消費に回すことも十分に考えられる。例えば,より節電効率のよい家電に買い換えるなどの消費は十分に検討されることだろう。

震災で失ったものは多いが,しかしこれから我々は立ち上がらなければならない。
従って,以上の4つの観点から,太陽光発電システムを大幅に普及させる機会として,今回の震災を活かすことは可能ではないだろうかと考える。
もちろん,自分は電力に関しては全くの素人なので,詳しい人は是非補完をして欲しい。

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